ある日、「ああ、もう美術なんてやめてしまおう。」と思った。 自室で、寝転がったとき、ベッドの横にあった小さな水槽が目にとまった。そこには7年前に夏祭りですくってきた金魚が1匹いた。名前はキンピン(メス)。たいして可愛がりもせず、粗末に扱ってきたため、水も汚れてフンまみれ、しかし彼女は生き続け、20cm以上になっていた。 僕は、水槽のふたを開け、彼女を上から見てみた。そのとき、僕の背筋がゾクゾクっとした。汚れた水の中で、赤く光る彼女の背中は、怪しく、そして最高に美しかった。 「この子がきっと僕を救ってくれる。」そう信じて、赤い絵具を取り出し彼女をモデルに筆を走らせた。楽しい!楽しい!楽しい!そして、あっという間に金魚の大群が生まれた。 「これだ!」僕の探していた答えが、ヨーロッパでもなく、アメリカでもなく、まさにこの部屋にあった。僕は、この日の出来事を「金魚救い」と呼んで大切にしている。

14年間金魚だけを描き続ける男・深堀隆介。独自技法から生み出される驚きの作品とは (via syuu)